6月01日号 特集ー植原紘治氏の「力をぬく経営」速読から未来を観る 1、能力のある人は会社を潰します 乱世と言われている激動の時代です。会社で欲しい「人」とはこれまで経験した時代においては能力のある人です。営業ならばどんどん売ってくる人です。しかし、激動期に入って世の中どの様に動いていくかわかりません。私たちがこれまで求めていた「能力があると言われている人」が実はとんでもない重荷になるんです。能力を発揮していた人は、頭の良い人です。有名な大学を出たり、知識が豊富で覚えたことを行動に移していける人です。 立派なスーツ姿で声も大きく、はきはき話をしている。聞くともなく聞いていると、「先月俺はこんなに売った」「あそこの社長は馬鹿だ」「あいつはゴルフばかりでだめだ」「あいつは女好きでな」と、話といえば自分が売った自慢話と人の悪口。なにを扱っているのかと思っていたら、ある水を扱っている人達であった。回りに誰がいるかわからないところでそのような話してをしている。そいう人たちの感覚が私にはわからない。そういう人はものすごい営業能力があるが、決定的に欠けているものがある。それは思想です。思想といってもイデオロギーではなくて、人生の生き方です。 いわゆる「哲学」がないのです。そういう人達が売っているのを、一般の消費者が長く買うとは私は思えない。それを象徴する事件が起こりました。太陽熱エネルギーで温水を沸かす機器を販売し素晴らしい業績をあげている会社が実名入りでクレームを受け社会問題となっている。売るということではものすごい能力があるが、哲学のひとかけらもない。そういう会社はもう生きていく価値がないんです。ですからそういう能力のある人は会社を潰します。さらに国を潰します。 2、これからは能力のない人の時代ですどういう風に能力がないかというと、これは一部上場企業の話です。会社でプロジェクトを組み、ある人を本部長にして3年で完成しようとした。3年たって本部長はプロジェクトを成功させました。社長は、全国の支社長や重役がいる場所へ本部長を呼んで「ご苦労であった。おまえのおかげでプロジェクトは大成功だ」と表彰した。本部長は戻って「さあみんな、今日でプロジェクトチームは解散する。私は社長や重役のいるところで誉めて頂いたが、君たちにはいたわりの言葉一つもない」と謝った。「何をおしゃいますか本部長、私たちがこの会社で仕事をしていられるのはあなたのおかげです。この会社は大企業とは名ばかりの「中傷」企業でした。人の悪口を言い、足を引っ張るばかりの会社でした。こんな会社に居たくないと思っておりましたが、あなたのプロジェクトチームに入れて頂き、人生の生きる目的を教えていただきました。私がこの会社へいられたのはあなたのおかげです。有り難うございました。」と部下の一人が頭を下げたら、そこにいた30人全員が「そうです。私たちがここで仕事を続けられたのは、貴方が生きる目的を教えてくれたからです。」と言ったそうです。 3、経営者の方はまずご自分で人生の目的を持って頂きたい 社長が人生の目的をしっかり伝えておくと、会社の幹部の方々は社長に人生を預けますから、生きる目的はもとより、会社で仕事をするときの目標を明らかにすることが出来るんです。目標を明らかにしたら、例え目標を達成するのが困難でも、辛ければ辛いだけ喜びになるんです。人生を預けていると「おーい、これやろう」「よーしやります」となる。目標が高ければ高いほど達成感がある、喜びが増える。会社で人生の目的を果たすことが出来るんです。社長が留守でも、ちゃんとやっておこうと思うんです。奥さんに「あなた、なんでそんなに仕事するの?会社と私とどっちが大事なの?」と聞かれて「会社だ、あの人のためなら死んだっていい、おまえのためではないよ」と、言ってしまうような思想を皆さん1人1人が持って頂きたいのです。そうすると、世の中がどんなに変わっても、資本主義が崩壊しようが、銀行が潰れようが一切関係ないんです。なぜなら社員の方達は死にもの狂いで働くからです。それが出来ないのなら今のうちに会社を畳んだほうが良い。 5、そしてその人生の目的を持つにはどうしたら良いか? |