ジャック・マイヨール

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イルカと泳ぐ
何を伝えたかったのか? 
  NHK教育でジャック・マイヨールがなにを伝えたかったのかと言う内容のドキュメントを放映しました。いくつかの点でショックを受けたり、驚いた事があります。こちらが古いダイバーだった事によるもので・・・・ 殆どの人は気にも留めない事かもしれません。

 まず最初に驚いたのは、レポーター役の女優・高木沙耶さんがフリースタイルで40mの素潜りができるという事実です。フリースタイルと言うのはマスク・スノーケル・フィンの3点セットだけで自力で潜るというものです。髪が真っ茶色のインストラクターでも、フリーで40m潜れる人はそんなに多くはいないと思います。ちなみに私は素潜りが苦手で、空気タンク無しでは10mも潜れません。

 ダイビングがまだマイナーな時代にはスピアフィッシング(魚突き)がダイビングの全てでした。全国規模の大会も開かれていて3人のスーパースターがいました。鶴、赤間、成田と言う名前は何処の会場でも常に上位に並んでいました。私も参加していたのですが、スピアフィッシングで彼らを超える事は無理だと気が付いて、写真に転向した経緯があります。

 高木沙耶さんが取材に行ったのは、その中の一人成田均でした。現在55歳、千葉県のダイビングショップのオーナーです。鶴耀一郎さんは徳之島か何処かで潜水漁師をやっていましたが潜水病に罹って車椅子だと記憶しています。赤間さんは八丈島でダイビングショップをやっているはずです。成田均は水中息こらえの日本最長記録を持っていたと思います。

遺骨を預かっている日本人ダイバー
 驚いた事にジャック・マイヨールの遺骨を彼が預かっていて、世界の有名なダイビングスポットに少しずつ散骨しているのです。イタリアで葬儀が執り行われた時に彼は行ったのですが・・ 参列していたのはたった5人だったと言うことです。カソリック信者の多い国では自殺という大罪を犯した人間の葬儀には誰も行かないのです。その辺の事情を探ろうとネットサーフィンをしたのですが・・・マイヨールのサイトはいっぱいあっても精神世界的な記述が多くて生身の人間としての生き様が殆ど伝わってきません。

 70歳代になって、ガイアシンフォニーにも出ていた若い美人の妻に逃げられて性能力の衰えと、深さへの挑戦にも体力的な限界を感じた時、衝動的に首を吊ってしまったのでしょう。(マイヨールの女好きは知る人ぞ知るです)
 晩年多くの時間を成田さんがダイビングショップの近くに用意した古い民家で過ごしていたようです。(日本女性が好きだったと言う理由もあります)

 マイヨールと成田さんはどちらかがこの世からおさらばしょうと思ったら相手の首を日本刀で切り落として介錯しようと誓い合ったそうです。「何故一人で勝手に行ってしまったのか分からない」と呟いていました。

安易に人を神に祭り上げる精神世界
 ガイアシンフォニーを観て、精神的な高みに登りつめた人間として、目をキラキラさせて見上げるのも良いのですが、肉体を持つ限りどのような体験や名声を得た人でも衝動的に首を吊る側面が有ることに目を向ける必要があります。

 最初は名誉心、競争心、自己顕示欲、異性に注目されたい・・・と言う気持ち一杯で始めた事が、様々な段階をクリアしていく中で多くの人々に影響を与える意識に変化していくのだと思います。最初から崇高な意識を持った人が特別な事をして高い意識レベル に達したと考えがちですが、それではいつまでも素晴らしいものは外にあると思ってしまいます。動機は不純でも良いから、夢中になれるものを全ての子供達が見つけたら素晴らしいですね。

 「一杯のバケツの水をお前ならどうする」と成田さんはマイヨールに聞かれたそうです。成田さんが色々言っていると「俺は一滴ずつ石の上に垂らす、そうすると知らない間に窪みができる」「人より深いところに潜れたのは毎日そんな練習を続けたからだ!」。


2001年12月24日
訃報:
 仏の潜水家ジャック・マイヨール氏が自殺
 ジャック・マイヨール氏(フランスの潜水家)イタリア国営RAIテレビが23日伝えたところによると、地中海のイタリア領エルバ島カローネの自宅で自殺して見つかった。74歳。

 上海のフランス租界生まれ。幼いころ佐賀県唐津の海岸に泳ぎに来ていた。1976年に地中海での素潜りで水深百メートルを超える潜水に成功。マイヨール氏をモデルに海の男が潜水記録に挑戦する映画「グラン・ブルー」が大ヒットし、一躍有名になった。隣人がマイヨール氏が首をつって死んでいるのを発見した。自殺したのは22日とみられるが、原因は不明。70年に伊豆半島沖で76メートルの素潜りに成功したほか、96年にも来日、ヨットで日本一周の航海を行った。(ローマ共同)


 あるホームページに記載されていた彼の横顔
 実際のジャックにあった人の印象は180度違います。饒舌で自己主張が強く、とても怒りっぽい反面、今怒ったことも場面が変わればケロッと忘れる子どもっぽいところを持ち合わせています。そういう意味でジャックはイルカ人間と言うより、感情のコントロールが不得意な動物的な自然児です。また、彼はピアノがうまく、ショパン、サティー、バッハなどを弾きこなします。

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