斜 視

のっぺりした女の子の白い足が
半分だけ見えていたので
さわろうと思って手をのばしたら
「まあ、嫌らしい」と言って
したたか額を蹴られてしまった
校庭で色の白い女の子が
あおむけに倒れていたので
「もし、もし」と言って起こそうとすると
むっくり起き上って
「あなた、ここはどこだか知ってるの」と言う
「それじゃここはどこなのだ」ときくと
「ここは色きちばかりを集めた学校なのよ」と言うのだ
「それじゃ大変」だと思って
走りぬけようとすると
校長と教頭が走って来て
「おい、どこへ行くのだ」ときく
「僕は色きちじゃないからこんな所にいるのは嫌だ」と言うと
「よし、よし、わかった、わかった」と言って
僕の両手をしっかり握って
ぐんぐんひっぱって行く
「どこへつれて行くのだ」ときいたら
「阿呆な学生ばかりを集めた教室へ入れるのだ」と言う
「嫌だ、嫌だ」と言って地だんだふんだら
完全装備の警官が五人飛んで来た

昭和四十年八月作品

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